WordPress vs Movable Type 徹底比較|企業サイト導入における「正解」の選び方

企業サイトのリニューアルや新規構築を検討する際、必ずと言っていいほど議論になるのが「CMS(コンテンツ管理システム)の選定」です。
中でも、圧倒的なシェアを誇る「WordPress(ワードプレス)」と、国内の大手企業や官公庁で根強い人気を持つ「Movable Type(ムーバブルタイプ)」のどちらを採用すべきか、頭を悩ませる担当者様は少なくありません。
「みんな使っているからWordPressでいいのでは?」
「セキュリティが心配だから有料のMovable Typeにすべき?」
このような疑問に対し、結論から申し上げますと「万人に共通する正解はなく、プロジェクトの優先順位によって最適解は異なる」が答えです。
本記事では、両者の違いを「コスト」「セキュリティ」「運用体制」の観点から徹底比較し、貴社にとってのベストな選択肢を導き出すための判断基準を解説します。
WordPressとMovable Typeの決定的な違い
詳細な比較に入る前に、両者の最大の違いである「仕組み(動的か静的か)」について理解しておく必要があります。
これが、後のセキュリティや表示速度に大きく関わってきます。
| 比較項目 | WordPress | Movable Type |
|---|---|---|
| 生成方式 | 動的生成(ダイナミック) アクセスがあるたびにデータベースから情報を引き出し、ページを生成して表示する。 |
静的生成(スタティック) 記事を更新したタイミングでHTMLファイルを生成し、サーバーに保存しておく。 |
| ライセンス | オープンソース(GPL) 誰でも無料で利用・改変が可能。 |
商用有償ライセンス 開発元のシックス・アパート社から購入が必要。 |
| シェア | 圧倒的No.1 世界のCMSサイトの約64% 日本のCMSサイトの約83% |
国内エンタープライズに特化 上場企業や官公庁など、大規模サイトでの採用が多い。 |
※シェア率参照元:W3Techs – CMS market share in Japan
WordPress(ワードプレス)の特徴とメリット・デメリット
世界で最も利用されているCMSであり、Web制作のデファクトスタンダードです。
豊富なプラグインとテーマにより、低コストで高機能なサイトを構築できるのが最大の魅力です。
メリット:拡張性とコストパフォーマンス
- 構築コストを抑えやすい: ライセンス費用が無料であり、技術者も多いため、制作費を安価に抑えやすい。
- 機能拡張が容易: 「お問い合わせフォーム」や「SEO対策」など、便利なプラグインが無数に存在し、開発工数を削減できる。
- 情報が豊富: 利用者が多いため、トラブル時の解決策やノウハウがWeb上に溢れている。
制作現場でもよく使われている、WordPressの機能を拡張する便利なプラグインについては、以下の記事で紹介しています。
関連記事:WordPressでよく使うおすすめプラグイン12選
デメリット:セキュリティリスクと保守の手間
- 攻撃の標的になりやすい: シェアが高いため、ハッカーの攻撃対象になりやすい。本体やプラグインのアップデートを怠ると、脆弱性を突かれるリスクがある。
- 表示速度の懸念: 動的生成のため、アクセスが集中するとサーバーに負荷がかかり、表示が遅くなる場合がある。
Movable Type(ムーバブルタイプ)の特徴とメリット・デメリット
シックス・アパート社が提供するCMSです。
「静的HTML書き出し」という仕組みにより、強固なセキュリティと安定性を誇ります。
メリット:堅牢なセキュリティと表示速度
- セキュリティに強い: 公開領域には静的なHTMLファイルしか置かないため、CMSの脆弱性を突いた改ざん攻撃を受けにくい。
- アクセス集中に強い: データベースへのアクセスが発生しないため、大量のアクセスがあってもサーバーダウンしにくい。
- メーカーサポートがある: 有償製品であるため、開発元からの公式サポートを受けられる安心感がある。
デメリット:コストと再構築の時間
- ライセンス費用がかかる: ソフトウェア版で99,000円(税込)~の初期費用や、年間メンテナンス費用が必要。
※参照:Movable Type ライセンス案内 - 再構築(リビルド)の時間: デザイン変更や記事更新の際、HTMLを生成し直す「再構築」という処理が必要。ページ数が数千〜数万になると、この待ち時間が長くなる傾向がある。
【結論】自社にはどちらが合っている?選定チェックリスト
それぞれの特徴を踏まえ、どちらを選ぶべきかの判断基準をまとめました。
WordPressを選ぶべきケース
- 初期費用(ライセンス費)をかけたくない
- WebマーケティングやSEO施策を積極的に行いたい
- 社内で頻繁にコンテンツを更新・追加したい
- 最新のWebトレンドや機能を柔軟に取り入れたい
- セキュリティ対策(保守管理)を制作会社に委託できる
中小企業のコーポレートサイト、オウンドメディア、採用サイトなどは、WordPressが圧倒的に有利です。
Movable Typeを選ぶべきケース
- セキュリティポリシーが非常に厳しい(官公庁、金融機関など)
- Webサイトがダウンすることが許されない
- 突発的なアクセス集中が予想される
- 複数のサイトを一つのCMSで厳格に管理したい
- メーカーサポートによる保証が必要
セキュリティ要件の厳しい大企業、公的機関、災害時の情報発信が必要なインフラ系サイトなどは、Movable Typeが適しています。
まとめ:CMS選定は「運用体制」まで見据えて決定を
「WordPressはセキュリティが弱い」と言われることもありますが、適切な保守管理を行っていれば企業サイトでも問題なく安全に運用可能です。
逆に「Movable Typeなら安全」と過信して放置すれば、リスクはゼロではありません。
重要なのは、CMSの名前だけで選ぶのではなく、「自社のセキュリティポリシー」「予算」「運用担当者のスキル」「将来の拡張性」を総合的に判断することです。
大阪でCMS選定やサイトリニューアルをご検討の方は、ぜひ一度digrartへご相談ください。
特定のCMSありきではなく、御社の事業課題や運用体制に合わせた、最適なプラットフォームをご提案いたします。
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関連サービス:大阪のCMS構築・WordPress導入支援
この記事を書いた人
大阪市中央区にて2009年よりWeb制作・運用支援を行い、1,000件以上の実績を持つWeb制作会社「digrart(ディグラート)」編集部が、本記事を執筆・監修しています。
現場で培った豊富な知見を活かし、Webサイト制作、ECサイト制作、SEO対策、Webコンサルティングの実践的なハウツーをお届けします。
初心者からプロまで、Web戦略の成功をサポートする実務ベースの情報が満載です。
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