レンタルサーバー選びで失敗しないために

Webサイト制作において、デザインやコンテンツの重要性はよく語られますが、実は「レンタルサーバー選び」こそ後の運用結果を大きく左右します。安さだけで選んだり、聞いたことがあるからという理由で契約すると、リニューアル時や運用フェーズで致命的な問題が発生するケースは珍しくありません。
本記事では、ハズレのレンタルサーバーを選んでしまった場合に起こりがちなトラブルと、後悔しないためのポイントについて、技術的な背景も交えて詳しく解説します。
変なサーバーを借りると後で困る理由
後からサーバー移転したくても簡単に変えられない
「サーバーが遅い」「設定が複雑すぎて管理できない」などの理由でサーバー移行を検討しても、メールを同じサーバーで利用していると移転の難易度が一気に上がります。メールの引っ越しは、過去の受信データの同期や、移行期間中のメール不達リスクなど、慎重さが求められる作業です。設定ミスのリスクを恐れるあまり、結局不満を抱えながらも今のサーバーを使い続けるしかなくなる「サーバーの塩漬け状態」に陥るケースは少なくありません。
最初のサーバー選びが誤っていたために、性能不足や障害のある環境から逃げられなくなる。これは現場で最も多く発生している、かつ根深い問題です。
基本的な技術要件すら満たしていない場合がある
実際にあった例として、ある古い仕様のサーバーでは現在のWeb制作ではほぼ標準の「UTF-8」がシステム全体で利用できないというケースも存在します。これにより文字化けが頻発し、WordPressの導入すらまともに行えない、あるいはプラグインが正常に動作しないといったトラブルが発生します。
他にも存在する深刻な問題として:
- WordPressの推奨PHPバージョンやMySQLのバージョンが古すぎる
- SSL設定(HTTPS化)が有料であり、かつ手動更新が必要で設定が困難
- ディスク容量だけでなく、転送量制限が厳しくアクセス増加に対応できない
- 標準のバックアップ機能が備わっていない、あるいは復元が有料オプション
- コントロールパネルのインターフェースが数世代前のもので、直感的な操作が不可能
- WAF(ウェブアプリケーションファイアウォール)などのセキュリティ機能が未実装
こうした不適切な環境下では、日々のコンテンツ更新作業だけでも膨大な工数とストレスが発生し、サイト運営の大きな足かせとなります。
大手だから安心、は間違い
「名前を聞いたことがある」「昔からある老舗企業」という理由だけで選ぶのは、Webサイトのパフォーマンスを追求する上では危険な選択になり得ます。具体例は避けますが、大手企業系列が提供するサーバーでも、現代のWeb制作トレンドや表示スピードに特化していないサービスは多く、以下のような懸念点が生じます。
- ハードウェアの更新サイクルが長く、古いCPUやHDDを使い続けている
- 独自仕様のコントロールパネルが難解で、エンジニア以外には設定ができない
- サポート窓口がWeb技術に精通しておらず、マニュアル通りの回答に終始する
- 法人向けの高額プランであっても、Web表示速度の実測値が安価な新興サーバーに劣る
- 管理画面へのアクセス制限が厳しすぎて、外部ツールとの連携が困難
餅は餅屋という言葉の通り、Web制作・WordPress運用に特化し、常に最新の技術を投入している専門サーバーを選定することが、結果的にコストパフォーマンスを最大化させます。
SEO(検索エンジン最適化)への悪影響
サーバー選びはSEOにも直結します。Googleは「コアウェブバイタル」という指標を通じて、サイトの読み込み速度を評価対象に含めています。低スペックなサーバーを使用していると、画像の読み込みやスクリプトの実行に時間がかかり、検索順位において不利な判定を受ける可能性があります。また、サーバーダウンが頻繁に起こる環境では、検索エンジンのクローラーがサイトを巡回できず、インデックスの削除や評価の低下を招くリスクもあります。
おすすめできるレンタルサーバー
WordPressなどのWeb運用に強いサーバー
現代のWebサイト制作において、高いシェアを誇る主要なサーバーは以下の通りです。
- エックスサーバー:国内シェアが高く、高速・安定性・充実したサポートのバランスが非常に優れています。困ったときにネットで情報が見つかりやすいのもメリットです。
- ConoHa WING:最新の高速化技術をいち早く取り入れており、表示速度が非常に高速です。管理画面がモダンで初心者でも操作しやすいのが特徴です。
- ロリポップ ハイスピードプラン:低価格帯のイメージを覆す高性能なプランです。コストを抑えつつも、LiteSpeedなどの高速化環境を手に入れたい場合に最適です。
- カラフルボックス:物理的に離れた場所にデータを保存する地域分散バックアップを採用しており、災害時のリスクマネジメントに強いという特徴があります。
サーバー選びの基準となるチェックリスト
失敗しないために、最低限以下の要件を満たしているか確認しましょう。
- 最新のWordPress推奨環境(PHP 7.4/8.x系以上、MySQL 5.7/8.0以上)に完全対応
- HTTP/2、LiteSpeed、オールSSDストレージなどの高速化技術への対応
- 独自ドメインの無料SSL(Let’s Encryptなど)が標準で提供されている
- 過去数日〜十数日分のデータが自動でバックアップされ、簡単に復元可能
- SLA(品質保証)が設定されている、もしくは稼働率99.99%以上の実績がある
- 電話、チャット、メールなど、緊急時に頼れるサポート体制が整っている
このリストのうち、一つでも欠けているサーバーは、ビジネス用途での利用は避けるべきと言えます。
まとめ:サーバーは「最初にケチると一番高くつく部分」
サーバーは建物でいうと土地、あるいは土台のようなものです。どれだけ素晴らしいデザインや価値のあるコンテンツを作り込んでも、土台が脆弱であれば、表示速度の低下やセキュリティインシデントによってすべてが台無しになります。
特に、リニューアルの現場では次のような後ろ向きな言葉をよく耳にします:
「メールの設定変更が面倒だから、とりあえず今の古いサーバーのままでいい」
しかしその安易な選択は、将来的な機会損失や、高額な保守費用、そしていつ発生するか分からない障害リスクを抱え続けることになります。目先の数千円を惜しんで、将来の数万、数十万円を無駄にしてはいけません。
これからサイト制作・リニューアルを行う場合は、まず「適切なサーバー選び」という最も重要な基盤づくりから始めることを強くおすすめします。
サーバー移行を伴うリニューアルでは、301リダイレクト設定などSEO評価を引き継ぐ作業も重要です。
関連記事:サイトリニューアルがSEOに与える影響とは?検索順位が下がるのを防ぐ方法を解説
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この記事を書いた人
大阪市中央区にて2009年よりWeb制作・運用支援を行い、1,000件以上の実績を持つWeb制作会社「digrart(ディグラート)」編集部が、本記事を執筆・監修しています。
現場で培った豊富な知見を活かし、Webサイト制作、ECサイト制作、SEO対策、Webコンサルティングの実践的なハウツーをお届けします。
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