ECサイト制作・構築

ECサイト制作の前に確認したい5つの準備事項

ECサイト制作・構築

ECサイト制作の前に確認したい5つの準備事項

「ECサイトを作れば売上が伸びる」と考えて、準備不足のまま制作を始めてしまう企業は少なくありません。しかし実際には、デザインや機能より先にビジネスの方向性や運用体制を整えておくことが、EC立ち上げの成否を大きく左右します。

この記事では、ECサイト制作を検討している企業担当者が事前に確認すべき5つの準備事項を、BtoB ECサイト特有のポイントも交えて実務的に解説します。

【この記事で分かること】
  • 5つの準備事項の全体像:目的・商材・プラットフォーム・決済物流法務・運用体制の各ステップを整理
  • BtoB ECサイト特有の準備項目:掛け払い・会員認証・受注承認フローなど、法人向けECならではのチェックポイントがわかる
  • 制作前チェックリスト:準備状況を確認できる一覧テーブル付きで、抜け漏れを防ぐことができる

準備①:目的とターゲットの明確化

ECサイトを作る目的を言語化する

ECサイトを作る目的が不明確なままだと、制作会社との認識違いや、公開後の改善施策がブレてしまいます。目的は「売上向上」だけでなく、「リード獲得」「顧客のファン化」「既存顧客のLTV向上」など多様です。まず「何のために作るのか」を明確にした上で、それを測定するKPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。

目的 KPI例
新規購入の増加 月間購入数、CVR、広告CPA
売上アップ 月商、平均注文単価、再購入率
認知拡大 セッション数、SNSシェア数、ブランド検索数

ターゲットユーザーとペルソナを設定する

誰に向けたサイトなのかが明確でなければ、商品設計・導線・デザイン・コピーライティングのすべてがぼやけてしまいます。既存顧客の分析や顧客インタビューをもとに、「30代前半の働く女性。時短や健康志向に関心あり」といった具体的なペルソナを言語化しておきましょう。

  • 誰に?(属性・行動特性)
  • 何を?(課題やニーズ)
  • どうやって届ける?(接点・導線)

準備②:商材特性と商品情報の整理

商品情報を整理する(ささげ業務)

ECサイト向けの商品情報整理には「ささげ業務」と呼ばれる作業があります。撮影(サ)・採寸(サ)・原稿(ゲン)の略で、商品ページに必要な写真・サイズ・説明文を揃える工程です。商品点数が多い場合、この作業に最も時間がかかるケースも多く、制作開始前に着手しておくことをおすすめします。

  • 取扱商品数・カテゴリ構成の整理
  • 商品ごとの写真仕様・規格(食品なら原材料・アレルギー表示など)の確認
  • 在庫管理の仕組み(SKU管理、バリエーションの構造)の設計

BtoB ECならではの準備項目

法人向けECを検討している場合は、一般的なBtoC ECとは異なる準備が必要です。以下の3点は、BtoB ECの要件定義で特に抜け漏れが起きやすいポイントです。

  • 掛け払い(後払い):法人取引では請求書払い・掛け払いが標準的です。NP掛け払いなど対応する決済サービスの選定と契約が必要です
  • 会員認証・法人登録フロー:一般公開せず審査後に購入可能にする「クローズドEC」の設計が必要なケースがあります
  • 受注・承認フロー:担当者が仮発注し、上長承認後に確定するフローに対応したシステムの検討が必要です

BtoBに対応したECプラットフォームの選び方については、BtoB向けECサイトの比較・選定ガイドもあわせてご参照ください。

準備③:プラットフォーム選定の方針を決める

ECサイトの構築方法(プラットフォーム)の選定は、制作費用・納期・機能の自由度に大きく影響します。発注前に自社の規模・要件・予算に合った方向性を決めておきましょう。ECサイト制作の対応範囲については、digrartのECサイト制作・構築サービスもあわせてご覧ください。

構築方法の選択肢を理解する

構築方法 特徴 予算目安
ASP型
(Shopify・makeshopなど)
テンプレート豊富・短納期・機能充実。月額料金で利用でき、初期費用を抑えやすい 50万〜150万円
パッケージ型 豊富な標準機能にカスタマイズを加えて構築。機能の幅と独自性のバランスが取りやすい 100万〜500万円程度
フルスクラッチ型 拡張性と自由度が最も高く、独自機能やブランディングに最適。開発・保守コストは高い 500万円〜

※上記は目安です。ページ数・機能要件・デザインの複雑さにより変動します。

必要な機能をリストアップする

構築方法を選ぶ前に、必要な機能を整理しておくと判断がしやすくなります。よくあるECサイトの機能としては、商品管理(在庫・バリエーション)、決済機能(クレジットカード・PayPayなど)、クーポン・ポイント・レビュー、定期購入・ギフト対応、外部連携(LINE・Instagram・MAツールなど)が挙げられます。BtoB向けの機能については、makeshop BtoB機能の解説記事もご参照ください。

準備④:決済・物流・法務の確認

決済方法を設計する

ECサイトで利用できる決済方法には、クレジットカード・コンビニ決済・銀行振込・電子マネー(PayPayなど)・後払い(NP後払い・ペイディなど)があります。利用する決済代行サービスとの契約には審査期間がかかるため、早めに検討を進めましょう。

また、2025年3月にはECサイトのクレジットカード不正利用対策として3Dセキュア2.0への対応が義務化されました。主要ASPはすでに対応済みですが、独自構築の場合は個別対応が必要です。

配送・物流を設計する

配送会社(ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便など)の選定と契約、送料の設定(全国一律・地域別・重量別・無料条件)、梱包・発送の体制(自社発送か外部倉庫〈3PL〉に委託するか)を決めておきます。物量が増えた際の対応も含めて、スタート時の体制と将来的な拡張を想定して設計しましょう。

法務対応を確認する

ECサイトの運営には法律上の表記義務があります。制作前に対応漏れがないか確認しておきましょう。

  • 特定商取引法に基づく表記:販売事業者情報・価格・支払方法・返品条件などの明記が必要
  • プライバシーポリシー:個人情報の取り扱いを明記
  • SSL(HTTPS)対応:安全な通信の確保(現在のECサイトでは必須)

準備⑤:運用体制と担当者の設計

担当者と業務フローを決める

ECサイトは公開してからが本番です。日常的な運営業務を誰がどう対応するかを、制作前に決めておくことで、公開後のトラブルを防げます。

業務 内容
商品管理 商品登録・価格変更・在庫更新
受注・出荷管理 注文確認・梱包・発送・返品対応
顧客対応 問い合わせメール・チャット対応
分析・改善 アクセス解析・売上データの確認・施策立案

制作会社への依頼範囲を明確にする

自社で対応する範囲と制作会社に依頼する範囲を明確にしておくことで、費用の見積精度が上がります。公開後の運用支援・コンテンツ更新代行・アクセス解析レポートなど、制作後も継続的に対応してもらえるかどうかは、制作会社選定の重要なポイントです。

制作前チェックリスト

5つの準備事項をもとに、制作開始前の確認状況をチェックしてみましょう。BtoBの場合は追加確認項目もあわせてご確認ください。

準備項目 チェック内容 BtoB追加確認
目的とターゲット ECの目的・KPIが明確になっているか、ペルソナが定義できているか 法人向けか個人向けかを明確にしているか
商材・商品情報 商品点数・カテゴリ構成の整理が済んでいるか、ささげ業務の体制があるか 掛け払い・受注承認フローの有無を確認しているか
プラットフォーム選定 構築方法(ASP/パッケージ/フルスクラッチ)の方向性が決まっているか BtoB対応機能(会員認証・クローズドECなど)を確認しているか
決済・物流・法務 決済手段・配送会社・特商法対応を確認しているか 3Dセキュア2.0対応・NP掛け払いなどの確認が済んでいるか
運用体制 担当者・業務フロー・問い合わせ対応の設計ができているか 受注承認フロー・倉庫連携の体制が整っているか

よくある質問(FAQ)

Q1. ECサイトの制作期間はどれくらい?

A. 構築方法やページ数によりますが、最短で1〜2ヶ月、フルスクラッチの場合は6〜12ヶ月以上かかることもあります。

Q2. 制作会社はどう選べばいい?

A. 実績・対応範囲・ヒアリング力・運用支援の有無などを比較しましょう。費用だけで決めるのはNGです。

Q3. 制作前に必要な資料や準備物は?

A. 商品情報(価格、画像、説明)、ロゴ、会社情報、納品希望時期などが必要です。できる限り事前に整理しておくとスムーズです。

Q4. ECサイト公開後に必要な運用は?

A. 在庫更新、キャンペーン設定、顧客対応、アクセス解析などが必要です。制作会社の運用支援を活用するのもおすすめです。

まとめ

ECサイト制作の成否は、デザインや機能だけで決まるものではありません。目的とターゲットの明確化・商材情報の整理・プラットフォーム選定・決済物流法務の確認・運用体制の設計という5つの準備を整えてから制作に臨むことで、スムーズな立ち上げと公開後の成果につながります。

BtoB ECを検討している場合は、掛け払いや会員認証、受注フローといった特有の要件も見落とさないようにしましょう。この記事のチェックリストを参考に、一度準備状況を整理してみてください。

この記事を書いた人

digrart編集部

大阪市中央区にて2009年よりWeb制作・運用支援を行い、1,000件以上の実績を持つWeb制作会社「digrart(ディグラート)」編集部が、本記事を執筆・監修しています。
現場で培った豊富な知見を活かし、Webサイト制作、ECサイト制作、SEO対策、Webコンサルティングの実践的なハウツーをお届けします。
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