Shopifyの「LTV向上」戦略|リピーターを増やすメールマーケティングとポイント導入術

ECサイト運営において、広告費の高騰や競争激化の影響により、新規顧客の獲得コスト(CPA)が上がりやすい環境が続いています。媒体や商材によって差はあるものの、全体としては新規獲得の「効率」が悪化しやすい局面です。現在の市場では、「一度買って終わり」の顧客ばかりでは利益を残し続けることが難しくなっています。
そこで重要となるのがLTV(Customer Lifetime Value:顧客生涯価値)の向上です。1人の顧客が、取引期間を通じて自社にどれだけの利益をもたらしてくれるか。この数値を高めることが、安定した店舗運営の生命線となります。
本記事では、Shopifyを活用してリピーターを増やし、LTVを最大化するための「メールマーケティング」と「ポイント制度」の具体的な導入術について、大阪のWeb制作会社digrartの視点で解説します。
ECサイトにおけるLTV向上の重要性と計算の考え方
まず、なぜ今LTVがこれほどまでに重視されているのか、その背景と基本的な考え方を整理しておきましょう。
LTVを構成する要素と利益ベースの視点
LTVは一般的に、以下の計算式で算出されます。
売上ベースでは上記の式が基本ですが、実務では広告費や原価、発送費などを差し引いた「粗利ベースLTV(例:平均粗利 × 購入回数 × 継続期間)」で管理するケースも多いです。目的に応じて、売上と利益の両面から数値を追うことが重要です。
最新の調査でも日本のBtoC-EC市場規模は拡大を続けていますが、同時に競合も増加しています。いかに「自社のファン」を囲い込めるかが勝負の分かれ目です。
出典:経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査」および業界統計データを参照
利益を守る「1:5の法則」と「20:80の法則」
リピーター対策には、マーケティングにおいて確立された2つの経験則・法則があります。
- 1:5の法則:既存客を維持するよりも、新規顧客を獲得するコストの方が高くなりやすいという経験則。利益率を高めるには、まずは既存客に長く使い続けてもらう施策が優先されます。
- 20:80の法則(パレートの法則):売上の80%は、上位20%の優良顧客(リピーター)によって作られているという法則。少数の熱狂的なファンがビジネスの根幹を支えていることを示唆しています。
LTVを伸ばす「最初の一手」を迷わないためのミニ診断
LTVは分解して考えるほど、改善の打ち手が明確になります。まずは自社の現状を「どこが弱いか」で切り分けましょう。
・平均購入単価が伸びない:セット販売、まとめ買い、関連商品の同梱提案(クロスセル)を先に整備
・購入回数が伸びない:ウェルカム/カゴ落ち/購入後フォローの自動化で「2回目の壁」を越える
・継続期間が短い:ポイント・ランク制度、定期購入、コミュニティ施策で「買い続ける理由」を仕組み化
この切り分けを最初に行うだけで、施策が「思いつき」から「優先順位のある改善」に変わります。
Shopify EmailとKlaviyoで実現するメール自動化
リピーターを増やすための最も強力なツールの一つが「メール」です。Shopifyでは、フェーズに合わせて最適なツールを選択できます。
ツールの選択肢:純正から高度な行動分析まで
Shopifyでメールマーケティングを始める際、以下の3つの選択肢が主流です。
| ツール名 | 特徴 | おすすめの層 |
|---|---|---|
| Shopify Email | 純正アプリ。毎月1万通まで無料。設定が非常に簡単。 | 初めてメール施策を行う小規模ストア。 |
| Klaviyo | 世界標準。高度な行動分析と緻密な自動化が可能。 | データをフル活用してLTVを最大化したい中〜大規模。 |
| StoreCRM | 日本発。LINE連携も強く、国内向けの操作性。 | 日本独自の接客やLINE活用を重視する国内事業者。 |
参照:Klaviyo(Shopify App Store) / StoreCRM(Shopify App Store)
出典:Shopifyヘルプセンター(Shopify Email:毎月10,000通の無料枠)
設定すべき3つの「オートメーション」と配信KPI
手動のメルマガ以上に重要なのが、特定のトリガーで送られる自動メールです。以下のタイミングとKPIを意識しましょう。
- ウェルカムメール:登録直後および24時間後に送信。ブランドの想いを伝え、初回→2回目への購入転換率やクーポン利用率を指標にします。
- カゴ落ちメール:離脱の1時間後、および24時間後にリマインド。回収できた売上金額やクリック率を注視します。
- サンクス・追跡メール:到着2〜5日後にフォロー。使用感を確認し、レビュー投稿率や関連商品の提案(クロスセル)による単価向上を狙います。
BtoC向けのメール配信では、必ず「特定電子メール法」を遵守する必要があります。事前の同意(オプトイン)取得と、解除導線(オプトアウト)の設置は必須です。
また、開封率やクリック率だけでなく「配信停止率(Unsubscribe)」を定期的に確認してください。停止率が急増した場合は、配信頻度が多すぎる、あるいは内容が顧客の期待とズレているサインです。加えて、可能であれば到達率や迷惑メール報告の傾向も確認し、配信設計を“守りながら伸ばす”運用に寄せましょう。
ポイント制度で「次回の来店予約」を作る
ポイント制度は、単なる値引きではなく、顧客に継続するメリットを提示する仕組みです。
日本語サポート対応のおすすめポイントアプリ3選
日本のEC市場では、ユーザーがポイントの貯まりやすさを重視する傾向にあります。日本のポイント商習慣に合いやすく、サポート面でも導入しやすいアプリをご紹介します。
- MR.POINT:シンプルで直感的な操作が可能。ポイントの有効期限設定なども容易です。
- Easy Points:柔軟なカスタマイズ性が魅力。ボーナスポイント設定など、戦略的な運用に向いています。
- どこでもポイント:定期購買アプリとの連携も強く、サブスクリプションのリピート率向上にも寄与します。
参照:MR.POINT(Shopify App Store) / Easy Points(Shopify App Store) / どこでもポイント(Shopify App Store)
実例:実店舗とECのポイント・在庫統合
真のLTV向上には、オンラインとオフラインの境界をなくすOMO(Online Merges with Offline)の視点が欠かせません。
弊社(digrart)が制作・構築をご支援したアイウェアブランド「A.D.S.R.」様では、Shopify POSを活用し、実店舗とECサイトの顧客情報・ポイント・在庫を一元管理できる運用を構築しました。
制作実績:A.D.S.R.(Shopify POS / 在庫・ポイント統合)
共通の顧客IDで管理することで、「お店で貯めたポイントをオンラインで使う」といったシームレスな顧客体験を実現し、ブランドのロイヤリティ向上に寄与しました。
ポイント還元率は、まずは1〜3%程度から設計されるケースが多いです。さらに上位顧客を優遇する「会員ランク制度(シルバー・ゴールド等)」を導入し、ランクに応じてポイント倍率や「先行販売への招待」といった限定特典を付与しましょう。
一律の値引きではなく「体験価値」を混ぜることが、利益率を守りながらファンを育てるコツです。併せて、セール品は付与対象外にする、利用上限や失効期限を設ける、発送完了後に付与するなど、運用ルール(ガードレール)を先に決めておくと利益が崩れにくくなります。
まとめ:優先順位を決めて着手する
ShopifyでのLTV向上は、一朝一夕には成し遂げられません。まずはGA4、そしてShopify標準機能の「コホート分析」を活用して、特定の時期に購入した顧客がその後どれだけリピートしているかを可視化しましょう。
出典:Shopifyヘルプセンター(Customer cohort analysis report)
何から手をつけるべきか迷った際は、以下の優先順位を参考にしてください。
- カゴ落ちメール:回収の即効性が最も高いため、最優先で設定。
- ウェルカムメール:「2回目の壁」を突破し、リピートへの導線を作る。
- ポイント・ランク制度:継続的に購入するメリットを仕組み化する。
- 実店舗連携(POS):オフラインの接点をデジタルに繋ぎ、ファン化を強固にする。
大阪でShopifyの運用やLTV向上、実店舗連携(POS導入)をご検討の方は、ぜひ一度digrartへご相談ください。貴社の商材や規模に合わせた最適なアプリ選定から、ファンを離さない戦略設計までトータルでサポートいたします。
無料相談はこちらから関連サービス:大阪のECサイト制作・構築 / 大阪のWebコンサルティング・集客支援
この記事を書いた人
大阪市中央区にて2009年よりWeb制作・運用支援を行い、1,000件以上の実績を持つWeb制作会社「digrart(ディグラート)」編集部が、本記事を執筆・監修しています。
現場で培った豊富な知見を活かし、Webサイト制作、ECサイト制作、SEO対策、Webコンサルティングの実践的なハウツーをお届けします。
初心者からプロまで、Web戦略の成功をサポートする実務ベースの情報が満載です。
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