ECサイト制作の相見積り完全ガイド|比較表の作り方

「3社に見積りを依頼したのに、金額も内訳もバラバラで比べづらい……」こんな悩み、よく聞きます。
結論はシンプル。依頼条件をそろえる(RFP)、評価項目の重要度(優先度)を事前に合意、比較表で採点→合意→交渉。この“3段構え”で、相見積りはフェアに、短時間で、後悔なく決められます。本記事は実務でそのまま使えるテンプレと手順をまとめました。
本記事のゴール
- 同一条件で相見積りを取り、比較可能な素材を揃えられる
- 見積書の読み解きポイント(ズレの見抜き方)が分かる
- 比較表テンプレと採点ルールで、短時間で社内合意まで進められる
相見積りの基本:目的とよくある誤解
目的
価格だけでなく、品質・スケジュール・運用体制・リスク対応まで含めた総合評価で選ぶこと
誤解
「最安値を探すこと」ではありません。要件の抜け漏れや体制差で、安く“見える”見積りが混ざりがちです。
相見積りの前に整える4つの準備
1. 依頼条件をそろえる(RFPの最小構成)
- 目的/KPI(3〜6ヶ月の目標)、機能要件(MoSCoW:Must/Should/Could/Won’t)
- 非機能要件(ページ速度、アクセシビリティ、セキュリティ、法対応)
- 範囲(撮影/原稿/データ移行/外部連携)、成果物、スケジュール、検収条件
※RFPに関しては下記、関連記事を御覧ください。
2. 評価項目(比較のものさし)を決める
- 例:類似実績の有無/非機能要件の適合/移行・連携の経験/進行・品質管理体制/見積りの透明性/スケジュールの現実性/保守SLA
3. 重要度(優先度)を設定する
- 各評価項目に1〜3の重要度を付与(高=3 / 中=2 / 低=1)。
- 例)リニューアルなら「移行・連携」の重要度3、新規構築なら「UI/UX・速度」の重要度を上げる など。
4. 社内の意思決定フローを先に決める
- 最終決裁者/必要書類(比較表・提案要旨)/スケジュール。ここが曖昧だと手戻りになります。
相見積りの進め方(6ステップ)
ステップ1:候補のロングリスト(3社程度)
- 近似規模・近似業界の実績、対応プラットフォーム(Shopify/Makeshop 等)、B2B・POS連携経験などを軸に抽出。
ステップ2:RFP送付(同一条件・同一様式)
- 同一RFP+見積り内訳テンプレを配布。Q&Aは全社で共有するルールも同時に案内。
ステップ3:質疑応答(締切を切って一括回答)
- 期間を区切って質問を受け、回答は全社へ一斉配布。情報の非対称を解消。
ステップ4:見積書・提案書の受領(前提条件の差を把握)
- 想定より安い/高い場合は、範囲・非機能・移行量・運用分担などの前提差を疑う。
ステップ5:ヒアリング(同条件・同時間で)
- 同じアジェンダ・同時間で面談。議事メモを残して、後の採点根拠にします。
ステップ6:比較表で採点 → 社内合意 → 最終交渉
- 重要度×点数の合計でランキング。上位2社と金額/体制/スケジュールを中心に最終調整。
見積書の読み解きポイント(“ズレ”を見抜くコツ)
1. 金額だけでなく内訳(人日×単価)を見る
- 設計、実装(フロント/バック)、デザイン、PM、テスト、移行、外部費(アプリ/撮影/翻訳など)。
- 極端に低い項目=範囲外の可能性。高い項目=品質担保やリスク込みのことも。
2. “別途”費用の扱い
- 外部SaaS、決済手数料、配送ラベル、撮影/原稿、検証端末、テーマ/アプリのライセンスなど隠れコストを明確化。
3. データ移行の見積ロジック
- 商品/SKU、顧客、注文、レビュー、リダイレクト。ボリューム×難易度で大きく変動。
4. 非機能要件の反映
- ページ速度、アクセシビリティ、セキュリティ、法対応に工数が割かれているかを確認。
比較表の作り方(テンプレ&採点ルール)
評価シートの基本ルール
- 各項目を1〜5点で採点し、項目ごとに設定した重要度(1〜3)を掛け合わせます。
- 総合点=Σ(各項目の「点数×重要度」)。同点なら「提案の具体性」「体制の確度」などで加点。
比較表テンプレ(サンプル)
| 評価項目 | 重要度 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|---|
| 類似業界の実績 | 3 | 4 | 3 | 2 |
| 非機能要件の適合(速度/法/AA) | 3 | 5 | 3 | 4 |
| データ移行・外部連携の経験 | 3 | 4 | 4 | 3 |
| 進行/品質管理体制(PM/レビュー) | 2 | 3 | 4 | 5 |
| 見積りの透明性(内訳/前提) | 2 | 4 | 3 | 3 |
| スケジュールの現実性 | 2 | 4 | 3 | 3 |
| 合計(点数×重要度) | – | 61 | 50 | 49 |
重要度(優先度)の付け方
- 新規構築:UI/UX・ページ速度・近似実績の重要度を高めに
- リニューアル:移行・外部連携・レガシー対応の重要度を高めに
- B2B:見積/承認/掛売・価格表・法人税制まわりの業務要件を最優先
ありがちな失敗と回避策
“費用”だけで決める
後から別途費用が累積。非機能と移行まで見積りに含める。
依頼条件が各社で違う
比較不能。RFPと見積り様式を統一する。
社内の評価観点がバラバラ
評価項目と重要度を先に合意しておく。
Q&Aを個社対応
情報非対称。質問は締切 → 一括回答 → 全社共有
提案の再現性が低い
体制図・WBSを出してもらい、誰が何をいつ行うかを明確化させる。
相見積りチェックリスト(依頼前/比較前/決定前)
依頼前
- RFPの最小構成を埋めた(目的/KPI、要件、非機能、範囲、スケジュール)
- 同一様式の見積りテンプレを用意した
- Q&A締切・面談アジェンダを全社で統一した
比較前
- 見積りの前提(移行量・外部費)の差分メモを作成
- 重要度(1〜3)を合意し、点数の根拠欄を用意した
比較前
- 上位2社と費用/体制/スケジュールの最終調整を行った
- 稟議用に比較表・提案要旨をまとめた
よくある質問(FAQ)
Q1:何社に声をかければいい?
A. 3〜5社で十分です。増やしすぎると情報管理コストが跳ね上がります。
Q2:一番安い会社でOKじゃないの?
A. 条件が同じなら検討対象ですが、非機能や移行品質でトータルコストは変わります。重要度×点数で総合評価を。
Q3:値引き交渉はいつが良い?
A. 比較後の上位2社に絞って、体制やスケジュール調整とセットで行うのが現実的です。
Q4:要件が固まっていなくても進められる?
A. まずはβ版RFPを作って、前提と仮定を明記。
まとめ
相見積りの肝は、条件の統一(RFP)と評価項目+重要度の事前合意。価格だけでは見えない非機能・移行・体制まで含めて、重要度×点数の総合点で選べば、後戻りや追加費用を最小化できます。明日から使える比較表テンプレも活用し、ブレない発注を実現しましょう。
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この記事を書いた人
digrart編集部
大阪市中央区のweb制作会社のメンバーが、Webサイト制作、ECサイト構築、SEO対策、Webコンサルティングの最新情報や実践的なハウツーをお届けします。初心者からプロまで役立つノウハウや業界トレンドを分かりやすく解説。web戦略の成功をサポートするための情報が満載です!
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