「説明を増やす」のは逆効果? ユーザーを迷わせない情報設計の基本。

Webサイトを改善しようとすると、多くの現場で起こるのが「説明を増やしよう」という判断です。情報が足りないから問い合わせが来ない、ちゃんと説明できていないから伝わらない──そう考えるのは自然なことです。
しかし実際には、説明を増やせば増やすほど、ユーザーに伝わらなくなるケースは少なくありません。良いWebサイトほど、意外なほど「説明が少ない」のです。
なぜ説明を増やすほど伝わらなくなるのか
理由は単純で、ユーザーはWebサイトを「読んでいない」からです。これはユーザーの質が低いという話ではなく、Webというメディアの特性そのものです。
ユーザーは「読む」のではなく「探している」
Webユーザビリティの権威であるNielsen Norman Groupの調査によると、Webページを訪れたユーザーの約79%は、文章を一語一句読むのではなく、拾い読み(スキャン)しているという結果が出ています。
※出典:How Users Read on the Web
多くのユーザーは、最初から文章をじっくり読もうとしてサイトを訪れていません。「自分が欲しい情報がありそうか」「答えが見つかりそうか」を、流し見で判断しています。
その状態で長文の説明が続くと、内容以前に「読むのが大変そう」という印象を与えてしまい、離脱につながります。
情報が多い=親切、ではない
説明を増やすことは、一見すると親切に思えます。しかし情報量が増えるほど、ユーザーは「どこが重要なのか」を判断しづらくなります。
同調査によれば、ユーザーがWebページ上のテキストを読む割合は平均してわずか20%〜28%程度であるとされています。
※出典:How Little Do Users Read?
結果として、本当に伝えたいポイントが他の情報に埋もれ、何も印象に残らないページになってしまいます。
また、重要な情報だからといって、複数のページに同じ内容を何度も掲載することは、よくある誤りのひとつです。情報を繰り返し見せることで「親切にしているつもり」になりがちですが、実際にはユーザーに同じ内容を何度も確認させることになり、閲覧体験を悪化させてしまいます。
ユーザーは情報を探すためにサイトを訪れています。重要な情報があちこちに分散し、似た説明が繰り返されていると、「どこを見れば正解なのか」が分かりづらくなり、目的の情報にたどり着くまでに余計な負担がかかります。
本当に必要なのは、同じ説明を何度も載せることではなく、「ここを見れば分かる」という明確な場所を用意することです。情報を整理し、役割ごとに適切な場所へ配置することで、説明量を増やさなくても、ユーザーの理解は深まります。
「1回で伝える」ための情報設計とは
説明を減らすというと、「情報を削って不親切になるのでは」と感じるかもしれません。しかし実際には、その逆です。重要なのは情報量ではなく、「どこを見れば分かるか」が明確であることです。
ユーザーはサイトを隅々まで読み込む前提ではありません。多くの場合、「それらしそうな場所」を直感的に探し、そこに答えがなければ離脱します。だからこそ、重要な情報は一箇所に集約し、その存在が分かる導線を用意することが重要です。
例えば、料金や実績、対応範囲といった検討フェーズで必ず確認される情報は、「あちこちに散らす」のではなく、「ここを見れば判断できる」という専用の場所を用意する方が、結果的に親切です。
説明を増やすのではなく、情報の置き場所を明確にする。これが「1回で伝える設計」の基本です。
説明を「削る」ための判断基準
では、どの情報を削り、どの情報を残すべきなのでしょうか。判断の基準はシンプルです。その情報が「ユーザーの次の行動に影響するかどうか」です。
削るべき情報の例
「会社の想い」や「コンセプト」などの抽象的な情報が、具体的なサービス内容や実績と結びついていない場合、読む側にとっては判断材料になりません。また、同じ説明を少し言い換えただけの文章もノイズになります。
残すべき情報の例
価格帯、対応エリア、実際の事例、担当者の顔が見える情報など、ユーザーが「ここに頼んで大丈夫か?」を判断するために不可欠な情報は必ず残します。
「この情報がなくても、ユーザーは次に進めるか?」と自問しながら整理していくと、削るべき説明と、残すべき説明が自然と見えてきます。
説明を減らすほど「伝わる」理由
説明が少ないサイトは、一見すると不親切に見えるかもしれません。しかし実際には、ユーザーにとって理解しやすい構造になっていることがほとんどです。
なぜなら、人は大量の文章を読んで理解するよりも、「必要な情報だけを見て判断する」方が圧倒的に楽だからです。説明を削ることで、ユーザーは迷わずに済み、ストレスなく行動できます。
良いWebサイトとは、すべてを説明するサイトではありません。読まなくても分かるように設計されたサイトです。そのためには、文章を足す勇気よりも、削る覚悟の方が重要になります。
「説明しない」のではなく「考えさせない」
説明が少ないサイトとは、情報を省いているサイトではありません。ユーザーに考えさせなくて済むよう、設計されているサイトです。
UIが説明の代わりをする
ボタンの配置、色、余白、視線の流れ。これらが適切に設計されていれば、「ここを押せば次に進める」「これが重要そうだ」と直感的に理解できます。
UIが機能していないサイトほど、文章で補足説明を追加しがちですが、それは設計の問題を文章で埋めている状態とも言えます。
コピーは「説明」ではなく「判断材料」
良いコピーは、細かく説明しません。「自分に関係があるか」「続きを見る価値があるか」を一瞬で判断できる材料を提示します。
結果として、読む人だけが先に進み、読まない人は迷わず離脱する。その取捨選択ができているサイトほど、成果につながりやすくなります。
ユーザーに響くライティングには、「ファクト(事実)」と「ストーリー」の両立が不可欠です。具体的な書き方はこちらの記事で解説しています。
関連記事:ファクトとストーリー|売れる文章が必ず持っている2つの要素
現在の主流デザインは「情報を絞る設計」を前提としている
近年のWebデザインは、ホワイトスペースを広く取り、要素数を抑えたミニマルな表現が主流になっています。これは単なる見た目の流行ではなく、「ユーザーはすべてを読まない」という前提に基づいた設計思想の結果です。
情報量が少ないコンテンツとミニマルデザインは相性が良く、視線の移動が少なく、重要な要素に集中しやすいという利点があります。情報を絞る事で流行のデザインにマッチし、自然とデザインが良くなります。一方で、情報を詰め込みすぎると、余白はただの空白になり、かえって分かりにくいUIになってしまいます。
まとめ:説明が少ないサイトほど成果が出る理由
説明が整理され、導線が明確なサイトでは、ユーザーは「理解しよう」と努力する必要がありません。理解できた人だけが行動するのではなく、行動できた人が理解していく構造になります。
結果として、直帰率が下がり、回遊が増え、問い合わせや購入といった成果につながります。
説明を足す前に、本当に必要なのは「削ること」かもしれません。
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この記事を書いた人
大阪市中央区にて2009年よりWeb制作・運用支援を行い、1,000件以上の実績を持つWeb制作会社「digrart(ディグラート)」編集部が、本記事を執筆・監修しています。
現場で培った豊富な知見を活かし、Webサイト制作、ECサイト制作、SEO対策、Webコンサルティングの実践的なハウツーをお届けします。
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