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カスタマージャーニーマップの作り方|認知から購入までの「接点」を可視化し、Web施策の優先度を決める

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顧客の行動を可視化する カスタマージャーニーマップの作り方 Web施策の優先度を決める手順

「Web広告、SNS、SEO…色々やっているけれど、どれが本当に効いているのか分からない」
「チーム内で『今は認知拡大だ』『いや、CV改善だ』と意見が割れてしまい、施策が一貫しない」

大阪で企業のWebコンサルティングを行っていると、このような「施策の迷子」になっているケースによく遭遇します。
部分的な最適化はできていても、ユーザーが購入に至るまでの全体の流れ(ストーリー)が設計されていないことが原因です。

この問題を解決する最強のフレームワークが「カスタマージャーニーマップ」です。
本記事では、顧客の動きを可視化し、Web施策の優先順位を論理的に決めるためのマップ作成手順を解説します。

カスタマージャーニーマップとは?なぜWeb戦略に必要なのか

カスタマージャーニーマップとは、直訳すると「顧客の旅の地図」です。
ターゲットとなる顧客(ペルソナ)が、商品やサービスを認知し、興味を持ち、比較検討し、最終的に購入・利用に至るまでの「行動」「思考」「感情」のプロセスを時系列で可視化した図のことを指します。

Web施策におけるメリット

Webマーケティングにおいて、このマップを作るメリットは以下の3点に集約されます。

  • 接点(タッチポイント)の漏れを防ぐ: 「比較検討」の段階でWebサイトを見るのか、SNSを見るのか、接点を洗い出すことで機会損失を防げます。
  • ユーザー心理に合わせたコンテンツが作れる: 「まだ欲しくない人」に「今すぐ買え」と迫るような、ミスマッチな訴求を回避できます。
  • 社内の認識統一: 営業、マーケティング、制作など、部署を超えて「顧客像」を共有でき、無駄な会議が減ります。

作成前の準備:ペルソナとゴールの設定

いきなり図を描き始めるのは失敗のもとです。まずは地図の主人公となる「ペルソナ」と、旅の目的地である「ゴール」を明確にします。

1. ペルソナ(主人公)の定義

「30代男性」といった大雑把なターゲットではなく、価値観や悩みまで深掘りしたペルソナを設定します。
ペルソナが異なれば、情報収集の手段(Google検索か、Instagramか)も悩みも全く異なるからです。

💡 ペルソナ設定の方法
実用的なペルソナの作り方については、以下の記事でワークシート形式で解説しています。まずはこちらで主人公を明確にしてください。
関連記事:Webマーケティングの「ペルソナ設定」ワークシート|年齢・性別だけではない「インサイト」の発掘法

2. ゴール(目的地)の設定

今回のマップのゴールをどこに置くかを決めます。

  • 購入・問い合わせ(CV): 新規獲得を目指す場合
  • リピート・口コミ拡散: LTV(顧客生涯価値)向上を目指す場合

初めて作成する場合は、「初回購入(問い合わせ)」をゴールに設定することをおすすめします。

【実践】カスタマージャーニーマップの作り方 5ステップ

準備ができたら、実際にマップを作成していきます。
横軸に「時間(フェーズ)」、縦軸に「顧客の情報」を配置するのが基本形です。

フェーズ 1. 認知・興味 2. 情報収集 3. 比較・検討 4. 購入・利用
行動
(タッチポイント)
SNS広告を見る
悩みで検索する
記事を読む
公式サイトを見る
口コミを見る
他社と比較する
フォーム入力
決済・送信
思考・感情
(インサイト)
「これ便利そう」
「私の悩みと同じだ」
「信頼できる?」
「詳しく知りたい」
「失敗したくない」
「高いかな?」
「面倒くさい」
「早く使いたい」
課題 認知されていない 情報が足りない 決め手がない 入力が複雑
施策
(解決策)
Web広告
SEO(悩み系)
コラム記事
ホワイトペーパー
導入事例
お客様の声
EFO(入力支援)
チャットボット

STEP1:フェーズ(段階)を区切る

ユーザーの状態を時系列で区切ります。
一般的には「認知」→「情報収集」→「比較検討」→「購入」の4段階で設定しますが、BtoBの場合は「社内稟議」のフェーズを入れたり、ECサイトなら「利用後(シェア)」を入れたりと、商材に合わせて調整します。

STEP2:行動とタッチポイントを洗い出す

各フェーズでユーザーが「何をして」「何を見るか」を書き出します。
Webマーケティングにおいては、ここが最も重要です。

  • 検索: どんなキーワードで検索するか?(例:「大阪 Webコンサル」「集客 できない」)
  • 閲覧: どのSNSを見るか? どのWebページを見るか?
  • 接触: メルマガを開封するか? 資料をダウンロードするか?
💡 検索行動の深掘り
ユーザーが検索窓に言葉を入れる時、どのような意図を持っているのかを理解することが重要です。
関連記事:SEOで重要なユーザー行動とは?検索意図の理解とUI改善で成果を上げる方法

STEP3:思考と感情を想像する

行動の裏にある「気持ち」を言語化します。
特にネガティブな感情(不安・不満)に注目してください。「本当に効果があるのか?」「騙されないか?」「手続きが面倒だ」といったマイナスの感情こそが、次のフェーズへ進む障壁(ボトルネック)になっているからです。

STEP4:課題を特定する

現状のWebサイトや施策と照らし合わせ、ギャップ(課題)を見つけます。
例:「比較検討フェーズで『他社との違いが知りたい』と思っているのに、サイトには『自社の強み』しか載っていない(=比較表がない)」など。

STEP5:解決策(Web施策)を立案する

特定した課題を解決するための具体的な施策を書き込みます。

  • 認知が足りない → SNS広告、ディスプレイ広告
  • 信頼が得られていない → 導入事例ページの拡充、権威性コンテンツ(監修者)の追加
  • フォームで離脱している → 入力項目の削減、EFOツールの導入

作っただけで終わらせない「優先順位」の決め方

カスタマージャーニーマップを作ると、やるべき施策が山のように出てきます。
全てを同時に実行するのは不可能です。以下の基準で優先順位を決めましょう。

「ボトルネック」から解消する

穴の空いたバケツに水(アクセス)を注いでも意味がありません。
まずは「最も離脱が多い箇所」「CVに直結する箇所(比較検討〜購入)」から着手するのが鉄則です。
認知施策(広告など)にお金を使うのは、受け皿となるサイトの課題を潰してからです。

インパクト × 実現可能性で判断する

「効果が大きいか(インパクト)」と「すぐにできるか(実現可能性)」の2軸で判断します。
例えば、「サイト全体のフルリニューアル」は効果が大きいですが、時間とコストがかかります。
一方で、「問い合わせフォームの項目を1つ減らす」や「FV(ファーストビュー)のコピーを変える」などは、数時間で実装でき、かつCVR向上へのインパクトも期待できます。

まとめ:顧客の「旅」を快適にエスコートしよう

Webサイトは、企業が言いたいことを言う場所ではなく、顧客が目的を達成するための場所です。
カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客がどこで迷い、どこで不安を感じているかが客観的に見えてきます。

「施策がマンネリ化している」「Webの成果が頭打ちになっている」と感じたら、一度立ち止まって顧客の旅(ジャーニー)を見直してみてはいかがでしょうか。
思いもよらない場所に、成果を上げるヒントが隠されているはずです。

Web戦略の優先順位付けや、カスタマージャーニーマップの作成支援をご検討の方は、ぜひ一度ご相談ください。
御社のビジネスモデルと顧客心理を分析し、最適なWeb集客ロードマップをご提案いたします。
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この記事を書いた人

digrart編集部

大阪市中央区にて2009年よりWeb制作・運用支援を行い、1,000件以上の実績を持つWeb制作会社「digrart(ディグラート)」編集部が、本記事を執筆・監修しています。
現場で培った豊富な知見を活かし、Webサイト制作、ECサイト制作、SEO対策、Webコンサルティングの実践的なハウツーをお届けします。
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