撮影・原稿・商品登録まで|EC制作の段取りと運用体制

ECサイト制作・構築

「撮影が遅れてローンチが延びた」「商品登録の揺れで検索に出ない」——EC制作は“作る”より整える段取りで決まります。撮影・原稿(コピー/仕様)・商品登録(データ/構造化/計測)を同じ設計図で進めれば、手戻りが激減。この記事は、役割分担と手順の標準化、撮影〜登録のチェックリスト、検索露出に効く構造化データ/画像要件/GA4計測までを一気にまとめました。

全体設計:WBS・RACIと“完成定義”を先に固める

最初に決めるべきは“いつ何をもって完成か”。撮影・原稿・商品登録は互いに依存するため、WBS(工程表)RACI(責任分担)で並走させるのが安全です。完成定義(写真サイズ/枚数、原稿粒度、必須属性、構造化データ、GA4イベント)をテンプレ化して契約・発注・社内依頼の共通言語に。以降の遅延・差戻し・再撮影を事前に減らすのが狙いです。

推奨WBS(抜粋)

  • 企画決定 → 撮影計画 → 原稿骨子 → 撮影/執筆 → レタッチ/校閲 → 商品登録 → QA → 公開
  • 並走ポイント:撮影と原稿は相互参照(訴求/USPの齟齬を回避)

RACIの型

  • R(実行):撮影チーム/コピーライター/データ入力
  • A(最終責任):PM(EC担当)
  • C(相談):MD/CS/在庫/法務
  • I(共有):物流/広告運用

撮影計画:必要な“画角の標準”を先に決める

撮影は必要カットの取りこぼしが最大のムダ。まず“商品タイプ別の定番セット”を決め、メイン/サブ/使用イメージ/サイズ比較/ディテールを標準化します。EC外部配信も見据え、画像サイズ・容量・背景・商品占有率の基準を定義。Google Merchant Centerは最小100×100px(アパレルは250×250px以上)、16MB以下が要件、かつ“商品をはっきり・演出最小に”と明記されています。

カット構成テンプレ(例)

  • メイン:真正面/白背景、陰影最小
  • ディテール:素材・縫製・端子・裏面
  • 使用イメージ:サイズ感・利用シーン
  • バリエーション:色/柄違いを明確
  • 同梱物:付属品一式の俯瞰

画像仕様の基準づくり

  • 画像形式:JPEG/PNG/WebP、長辺2,000px前後、16MB以下
  • 商品占有:ガイドラインでは商品を画面の大部分で明瞭に(Merchant Centerに準拠)
  • バリアントは色ごとに正しい画像を対応(誤クリック抑止)

原稿制作:コピー×仕様×FAQを一体で組む

“魅力だけ”でも“仕様だけ”でも売れません。USP(独自価値) → ベネフィット → 仕様/注意点 → FAQの順で同一ページ内に並べ、比較・不安解消・納得を支援します。GoogleのProduct構造化データは、価格・在庫・返品・長所/短所・レビュー等を検索に反映しやすく、ページ内テキストとの一貫性が重要。まずは見出し → 要点箇条書き → 本文の三層で量と質のバランスを取ります。

ライティング骨子(雛形)

  • 見出し:用途×メリットが一読で分かる
  • 要点箇条書き:3〜5つ(根拠リンク歓迎)
  • 本文:具体例・使用シーン・注意事項
  • 仕様表:サイズ/素材/電源/原産国/保証
  • FAQ:返品・配送・ケア・相性の良いアクセサリ等

表示と構造化を合わせる

  • 長所・短所を本文に記述 → 構造化データのPros/Consに反映
  • 返品/送料はページ上の明記+構造化(ReturnPolicy/ShippingDetails)を併用

商品登録:データモデリングと“揺れ”対策

登録の品質はデータ設計で決まります。マスターはSKU(社内ID)を主キーに、標準コードGTIN/JANを紐づけ、バリエーション(色/サイズ)をitem_group_id(グループ)で束ねる形が堅実。GTINの基礎はGS1標準に従い、JAN(GTIN-13)の割り当て・桁構成を理解しておきましょう。外部配信(無料リスティング/ショッピング)や入出庫連携の“照合精度”が上がります。

推奨フィールド(抜粋)

  • 識別:sku / item_group_id / gtin / brand / mpn
  • 表示:title / description / image_link / additional_image_link[]
  • 販売:price / availability / condition / shipping / return_policy
  • カテゴリ:google_product_category / custom_label
  • SEO:breadcrumbs / canonical / structured data (Product…)

バリアントの検索露出を高める

  • 色・サイズなどの派生はProduct Variant対応の構造化で明示(2024年以降の拡張に準拠)

画像・データの外部配信を見据えた要件

後戻りを減らすには、“はじめから配信できる品質”で作ること。Merchant Centerの画像/フィード仕様に沿えば、広告・無料リスティングでの露出が安定します。URLは固定に、変更時は新URLで差し替え(再クロール早期化)。画像は商品が明確/演出最小/解像度要件を満たすこと。画像の差し替え運用とバージョン管理も併せて設計しましょう。

配信前チェック(画像)

  • 解像度:100×100px以上(アパレル250×250px以上)/16MB以下
  • 表現:商品をはっきり、過度な演出や文字乗せは避ける
  • バリアント:該当色の画像を割り当てる(誤誘導防止)

配信前チェック(データ)

  • 必須属性の欠落なし(価格/在庫/タイトル/リンク/画像)
  • 固定URL+変更時は新URLで通知(再クロール短縮)

QAと計測:公開直前の“最終ゲート”

最後は表示・計測・構造化の三点セット。GA4の推奨イベント(view_item/add_to_cart/begin_checkout/purchase ほか)を実装し、商品/リスト単位で計測。構造化データはSearch Console/リッチリザルトテストで検証し、Merchant Centerの診断も確認。

最終チェック(抜粋)

  • リッチリザルト(Product/Variant/返品/送料)に重大なエラーなし
  • 主要導線の計測イベントが意図通り発火(DebugView/リアルタイムで確認)
  • Merchant Center「診断」で不承認なし/解消済み(画像・データ仕様)

体制別の“現実解”:内製/外注/ハイブリッド比較

撮影・原稿・登録は内製で速度、外注で品質/伸縮性という特徴。おすすめはハイブリッド:メイン視聴面(メイン画像/USPコピー)は外部プロ、量が多いディテール/登録は内製で。WBS・RACI・テンプレを共通運用にすれば、切り分けても品質が揺れません。

比較表(要点)

体制 メリット デメリット 向き
内製 即応、低コスト 品質のブレ、属人化 SKU多・更新頻度高
外注 品質安定、演出力 リードタイム/費用 主力商材の訴求
併用 速度×品質の両立 仕切りの手間 中~大規模運用

実務チェックリスト(保存版)

ここだけ見れば抜け漏れが拾える“現場用”の要点です。Excel/スプレッドシート化して、案件ごとにコピペ運用するのがおすすめ。数値などは変更してご利用ください。

撮影

  • 画角セット(メイン/使用/ディテール/バリアント/同梱)
  • 画像仕様:100×100px以上、(アパレル250×250px以上)、16MB以下
  • 背景・演出の基準/色ごとの対応画像

原稿

  • USP → 要点 → 本文 → 仕様 → FAQの順で構成
  • 品/送料の明記+構造化(ReturnPolicy/ShippingDetails)
  • 長所・短所/レビュー要素の整備

商品登録

  • sku 主キー+GTIN/JANを付与(照合精度)
  • バリアントを構造化データで明示(色/サイズ)
  • フィード必須属性の充足(タイトル/価格/在庫/画像)

QA/配信・計測

  • リッチリザルト検証OK(重大エラーなし)
  • GA4推奨イベントの発火(view_item〜purchase)
  • Merchant Center「診断」クリア(不承認0)

よくある質問(FAQ)

Q1:画像はどのサイズで撮ればいい?

A. 長辺2,000px前後で作っておけば大半の配信に対応可能。Merchant Centerは100×100px(アパレル250×250px以上)、16MB以下が最小要件です。

Q2:バリエーションは1ページにまとめる?

A. はい。色/サイズなどはVariant対応の構造化で伝えると検索理解が進みます。ページ上の表示とデータの一貫性も重要です。

Q3:返品・送料はページに書くだけで十分?

A. ページ明記に加え、ReturnPolicy/ShippingDetailsを構造化しておくと検索の理解が安定します。

Q4:GA4は最低どのイベントが必要?

A. view_item/add_to_cart/begin_checkout/purchaseは必須ライン。まず公開前にDebugViewで発火確認を。

Q5:画像URLは差し替えでも同じでいい?

A. 新しいURLで差し替えが推奨。Merchant Centerが早期に再クロールできます(同一URLは検知に最大数週間)。

まとめ

撮影・原稿・商品登録は、同じ設計図(完成定義+テンプレ)で並走させると良いと思います。画像は配信要件を満たす品質で作り、原稿はUSP → 仕様 → FAQ → 構造化で一貫性を確保。登録はSKU×GTINを軸にVariant/必須属性を欠かさず、公開前はリッチリザルト&GA4&Merchant診断で最終確認しましょう。
大阪でECサイト制作をご検討の方は、ぜひ一度ご相談ください。
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この記事を書いた人

digrart編集部

大阪市中央区のweb制作会社のメンバーが、Webサイト制作、ECサイト構築、SEO対策、Webコンサルティングの最新情報や実践的なハウツーをお届けします。初心者からプロまで役立つノウハウや業界トレンドを分かりやすく解説。web戦略の成功をサポートするための情報が満載です!

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